◎震災を機に「悪化した人」、「社会復帰できた人」~引きこもりの命運を分けた家族の言葉と行動
東北大学大学院教育学研究科の若島孔文准教授は、「東日本大震災PTG心理・社会支援対策室」の家族臨床心理グループのメンバーとして、被災地で支援活動を行ってきた。
3月25日から、石巻市などの避難所での心理支援や、被災地の役所職員との面談などを実施。その後、避難所や仮設住宅に「簡易こころの相談室」を開設している。一方、3月27日に「東日本大震災心理支援センター現地対策室」を設置して、様々な組織や団体のこころのケアチームに参加してきた。
こうして被災地の中で間近に被災者と接してきた若島氏によると、まず、うつや統合失調症を持っていた人たちは、震災の影響を受けて、不安が高まっているという。
「電話相談でも、対面で会えるくらいの引きこもりの人のケースでも、うつや妄想などの症状があって引きこもっている人たちは、余計に症状が悪化している感じがします。涙を流したり、また起こるのではないかという予期不安を訴えたり。元々、うつなどの既往歴のある人は、悪い方向に向かったのだと思います」
実際、私の周囲でも、震災直後、被災地の映像を見て「涙が止まらない」とか、落ち込んでしまって動けなくなる人たちがいた。
「結局、災害時のストレス反応が、そういう既往歴のある人たちにはより強く、長く見られる感じがあります」(若島氏)